第 二 章

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隣を歩く彼の横顔を眺めていれば、ふと彼がこっちを向いた。 「何?」 「…好きだぁって。」 勝手に口から零れた言葉に、彼は驚いた顔をした。 そこで気付いた、自分が言った言葉。 私、何言っちゃってんのっ! うわっ、はずっ! 顔が熱くなる。 彼の顔が見れなくて俯けば、隣から彼の声。 「照れるぐらいなら、言わなきゃいいのに。」 そう言う彼の声は優しい声。 「…だね。」 でも、勝手に口から出ちゃったんだもん。 「…嬉しいけどね。」 「え?」 小さく呟かれた言葉に顔を上げれば、照れたように笑う彼の顔。 「ごめん、あんまり見ないで。」 照れた顔を隠すように、顔を背けた彼に思わず笑みが零れた。 「照れるぐらいなら、言わなきゃいいのに。」 そう言った私の声は嬉しくて弾んでいた。 「でも、嬉しかっただろ?」 笑顔で問う彼に頷き返す。 好きって勝手に口から出たのは、好きな気持ちが溢れちゃったから。 「大好きだよっ!」 恥ずかしいけど、言いたくなっちゃう。 それが、好きって言葉。  
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