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【2010年3月17日午前11時30分】
〔兵庫県姫路市立琴陵中学校領域 姫路駅上空〕
{Sho side}
「レイヴン2、ミサイル接近、ブレイク!」
耳にあてがわれたヘッドホンからレイヴン1の声が聞こえる。
鳴り止まないミサイルアラート。
俺はこんな所で死にたくない。
操縦桿を引き、機種を急激に上げる。
強烈なGが体を襲う。
視界が暗くなり、気を失いそうになるが何とか持ちこたえ、フレアを射出する。
大量の熱源の出現に対応できず、ミサイルは標的を一瞬見失ったが、向こうのミサイルは思いの外優秀だったらしく、再び目標を追尾しだした。
「くそったれ・・・」
俺は毒づいた。このままでは俺の愛機のケツで爆竹が炸裂する事になる。
ミサイルアラートの間隔が狭まっていく。
ズドォォォン!
爆音と共に激しい衝撃が機体に走る。
俺は頭を後ろに向け、左主翼を見た。
三分の一ほど吹き飛び、大量の黒煙を吹き、火がでている。
もうこの機はダメだ。
「レイヴン2!脱出しろ!」
言われなくても分かってるよ、バカヤロー・・・
オレはイジェクションレバーに手を伸ばした。
・・・!?
・・・くそっ・・・
・・・ベルトが絡まって・・・手が届かねえ・・・
もし、引けなかったら・・・
そのときは機体と一緒にお釈迦だ。
オレは・・・こんな所で、死ぬのか・・・?
いや・・・まだ死にたくない・・・・・・
薄れゆく意識の中、精一杯手を伸ばす。
後少し・・・。
手に何かが当たった感触がした。
質感、形状、イジェクションレバーか?
オレはそれを握りしめ、力の限り引っ張った。
カコン という音が聞こえ、下向きに急にGがかかったのを感じたところで、俺の意識は途絶えた。
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