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そのことに疑問しか浮かばない俺は腕を組みながら華琳を見据える。
「先の戦で私達は袁紹を倒し、その領土を我ら魏の物にしたわ」
そう。俺達はあの戦の後すぐに袁紹の領地に進軍、その領土を獲得した。俺の出る幕がなかった位わりとあっさりと。
敵軍がそんなにいなかった事から、あの戦に主力と大部分をさいていたのだろう。それでもやけに簡単に攻略出来たのは大将の袁紹……はどうか知らないが、とその二枚看板であり主戦力たる顔良、文醜がいなかったことが挙げられる。
いったいどこに行ったのやら。
「しかしそれ以来戦と呼べるものも、賊討伐でさえ無いわ。だからこの乱世を突き進むため、戦の感覚を忘れてほしくないの。この合同訓練はそのために企画したものよ。そして……」
華琳の言葉に素直に頷く俺達。この事なら皆わかっているはずだ。しかしまだ続くその言葉にまだ暫し耳を傾ける。
「ただやるだけではつまらないと思ってね。この訓練で私から見て一番の働きをした者には好きなものをあげるわ」
俺を含めた何人かの目が光った。
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