11人が本棚に入れています
本棚に追加
「………………」
魔理沙が、妹紅の膝の上に
顔を向け
二ヤリとしながらそう言う。
視線を下に落とすと
まるまった白猫がそのまま
気持ちよさそうに眼を閉じている。
…私をここちよい毛布とかと
勘違いしてるんじゃないか
コイツは…
「どっちにしろ、私はその猫の里?とやらの場所もよく分からないんだ、それも含めて霊夢に聞くしかないぜー」
魔理沙は
口を付けていなかったお茶を
ぐいっ、と
一気に飲み干すと
すっくと立ち上がり
箒を横に携えた。
「博霊神社の巫女か、そういえばしばらく顔を見てないな…」
「いや、私も久しぶりだったぜ?…妹紅も、あんなわけの分からない竹林でひきこもってないで、もっと外に出ればいいんだぜ!」
「わけの分からないキノコだらけの森で、わけの分からない魔法を生み出してる、
お前には言われたくない」
呆れたようにそう言う魔理沙に
むっとした表情で
皮肉に、皮肉を返す妹紅。
「あーあ、素直じゃないぜ妹紅は…
そんなんじゃ慧音に「――だっ黙れ!」
妹紅が顔を真っ赤にして
左手を構えたときには
魔理沙は哄笑しながら
箒に乗って
夕日の景色に溶け込んでいってしまった。
「逃げ足だけは一級品なヤツだ…」
苦々しく呟きながら嘆息する
妹紅。
勘定を横において立ち上がろうと…あ
「……………」
「zzz…zzz…」
膝の上の白猫は未だ、
安眠中である。
_結局妹紅は
「…煎茶を、一杯頼めるか…」
白猫が眼を覚ます間、
夕日が沈むまでその茶屋で
彼方の大輪の華を一人で見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!