不死の焔は消えない記憶と共に-Ⅰ-

11/16
前へ
/37ページ
次へ
「残念だが-――。」 「そうか、見つからなかったか…」 「あぁ、魔理沙と一緒に歩いて回ったんだが、それらしき情報は掴めなかった…。」 迷いの竹林、妹紅の庵。 夜半に、慧音が訪れていた。 夜も更け、辺りは静謐とした静けさに包まれている。 件の白猫は 囲炉裏近くの、座布団の上にまるまり 静かに寝息をたてていた。 「今日は…朧月夜か、もう春だな幻想郷も」 「…あぁそうだな、春だ…」 二人は庵の縁側に並んで座り 月を眺めていた。 正確にいえば 私は寝転びながらで、 慧音は 柱に背を預けながらだが。 「さっき、夜雀の屋台で買ってきた鰻と、酒を用意したんだが…呑むか?」 「ふむ月見酒、と洒落込むのもたまには悪くないな では少し頂くとするよ。」 妹紅は身体を起こすと 盆に載せていた杯に、酒を注ぐ。  
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加