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「判りました。母にそう伝えます。
先生、有難うございました……」
「薬、ちゃんと飲んでね……」
「はい……」
「望……」
宏だ。沙織と行き違いで入ってきた。
今日て、こっちだっけ……?!
彼は、所謂、精神科医でも、あちこち回ってる、循環医なんで、たまに、一緒の職場で仕事してる、ことになる。
「宏、どうしたの……?!」
「ちょっと、相談事。あのもも、て子、俺に今度会わせてくれない?!」
「でも、彼女、大人の男、拒否する所あるから、どうかしら……」
「似たような女の子、今、診てるんだ。
参考にしてみたくて。
もし心配なら、君も一緒にその場にいればいいよ……」
「じゃあ、この次、来週の火曜、彼女来るはずだから、その時に貴方を紹介して、ももちゃんの、顔色を見てから、て事でいいかしら……」
「いいよ。有難う……」
3年前の警察での取り調べでは、ももは、普段から、痴漢に遭ったり、危ない目にも遭遇してるので、防御用で、登山ナイフを持ち歩いてた。
当時 彼女を面倒みていた叔父が、登山によく出掛けるので、防御用として、ももに持たせたのも、判明していた……。
どこも不自然な所はないし、あくまでも、ももは被害者であり加害者……。
正当防衛……、しかし、過剰防衛ではない。
何はともわれ、私はただの、精神科医だから、彼女に触れていい部分と、触れちゃいけない部分だけは、弁えなくちゃならない……。
「宏の方の患者さんは、どんな感じなの?」
「え、と、中学入学前に、数人の上級生に回され、たまに症状として現れるのが、被害妄想、躁鬱(そううつ)、リスカなんかの解離性障害、てとこかな……。
話していても、たまに情緒不安定な部分が、いきなり出てくる。
それ以外は、普通のあの年代の子に比べて、大人ぽくて、しっかりした子……、に思うけど。
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