精神科医西山望のカルテ

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その日はやってきた。   時間通り、病室にやってきたももに、望は、宏を紹介した。   「ももちゃん、こちら、藤岡宏先生。   普段は他の病院で、精神内科やってるんだけど、たまに、この病院を担当してるの。   彼が、今日は、一緒でも差し支えないかしら?」   ももは、宏を、少し警戒したような目付きで、見つめた。   「望先生も一緒だよね?」   「勿論よ。もし、ももちゃんが、無理なようなら、先生には席外してもらうから……」   「うん……、大丈夫」   「初めまして、ももちゃん。 宜しくね」   「宜しくお願いします」   「最近は、どう? 学校へは、行けてる?」   「普通に通ってますよ」   「え…っと、女子校だね……。こないだ、別れた彼氏とは、どこで知り合ったの?」   「中学ん時の先輩」   「てことは、あの事件のあたりから……?!」   「あの前から付き合ってました……」   「3年も付き合ったんだ……、S〇Xはあったの?」   少し間を置いて、  「はい」と答えた。  「レイプされた時、バージンだったよね。 その後かな……?!  思い出さなかった?」   (ちょっと、宏……!)   望は、止めかけたが、宏は続けた。   「なんで、許せたの?   あんな事されたばかりなのに……。   男なんて、汚いとか、獣(けだもの)だとか思わなかった……?」   「暫くはできなかった。 でも、先輩が好きだったから……」   「別れた理由、聞いてもいい?」   「えっちばかり、望んできたから……」   「他にデートするとか、じゃなく、ももちゃんと会うたんびに、求めてきて、終わったら、バイバイ……、みたいな感じ?」   「そう。勝手に、ももの部屋に入ってくるし、  生理だから、嫌だ……、て言ってるのに、お風呂場に連れてって、無理矢理………」   ももは俯いた。   「三年前のレイプはどうだった……?!」
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