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プロローグ
伝わらない
伝えきれない 想い
ひとは その壮大なあきらめを前に
ふと 肩の力を抜いて
まるで なにものかに
守られているかのように 笑う
伝わりはしない
なにもかもは ある絶対音階を前に
確実にフラットする
それは
永遠を悟りきることのない
生命(イノチ)の運命(サダメ)だ
ひとつに溶けあうことを許されぬことを
かなしむかのように
たのしむかのように
触れあう指先がとらえる 鮮やかな断絶
すれちがう生命の織りなすものは
密やかな調和(ハーモニー)
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