短編集1 太陽

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 もう、嫌なんだ。何故僕に付きまとう。  闇に沈みたいのに、何故太陽が闇から僕を引き離す。  止めてくれ。もう、いいじゃないか。 「秦(しん)兄ちゃんは、いつも悲しい音楽と嬉しい音楽を奏でてるよ!」  彼女はそう言って、僕に微笑む。  悲しい音楽も、嬉しい音楽も無い。  僕は、苦痛の音楽しか奏でない。  遊歩道で、僕は太陽がもっと嫌いになった。
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