短編集1 太陽

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「好(よ)い染めの空を見上げながら音楽部の帰りを楽しんでいたら、秦兄ちゃんがそこで寝てたんだよ?」  彼女はそう言って笑うと、僕に苺味のゼリーを差し出した。 「投げ出したい? 人生」  軽々しい。太陽が、そう問い、僕は……頷いた。  何故頷いたかは知らないけれど、それでもやはり僕は、投げ出したくなった。 「じゃあじゃあ、今日一日付き合ってもらおうかな!」  そう言って彼女は、僕を外へと追い出した。
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