光と闇の狭間

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「…っ、あたし…もうこの部屋にいたくない…」 やっと出たあたしの言葉に、詳しいことなど何も知らない母親は、思いも寄らない言葉をかける。 「引っ越しなさい、仕事、いいの見つけたから。新しい部屋、お母さんが探して上げるから」 何一つ説明していないあたしに、母親は全て分かっているかのような答えをくれた。 こうしてあたしは、逃げ出した。 仕事場にはその日の内に、今月付けで辞めると言い、荷物をまとめ始める。 元恋人には出て行くから、とだけ言った。 あたしは逃げ出すことだけで頭がいっぱいだった。
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