大切な人の死

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
ある冬の出来事。 妻が死んだ。 死因はわからない。 「何故だ、何故逝ってしまったのだ。」 妻の冷たい頬にそっと手を添えると、何故か涙が指に移り きらきらとひかっていた。 広々と目の前に広がる景色は揺れている。 寒さに冷えきった自分の指に息を吐いたが、それすらもため息に思えた。 夫婦には一人の子供がいた。子供の幼い目には景色がはっきりと見えず、その先に待っている未来も定まらない。だが夫婦のもとにいて、その子はとても幸せそうだった。 妻が死んだ次の日。 子供までもが死んでしまった。 今回も死因は不明だった。 妻が死んだとたん、この子の体が弱りだし、今日の朝逝ってしまった。 「くそ!この子まで…僕はもうどうしたらいいんだ…」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!