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ある冬の出来事。
妻が死んだ。
死因はわからない。
「何故だ、何故逝ってしまったのだ。」
妻の冷たい頬にそっと手を添えると、何故か涙が指に移り
きらきらとひかっていた。
広々と目の前に広がる景色は揺れている。
寒さに冷えきった自分の指に息を吐いたが、それすらもため息に思えた。
夫婦には一人の子供がいた。子供の幼い目には景色がはっきりと見えず、その先に待っている未来も定まらない。だが夫婦のもとにいて、その子はとても幸せそうだった。
妻が死んだ次の日。
子供までもが死んでしまった。
今回も死因は不明だった。
妻が死んだとたん、この子の体が弱りだし、今日の朝逝ってしまった。
「くそ!この子まで…僕はもうどうしたらいいんだ…」
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