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「いいんですか?」
「ん?」
愛しい真夜が豆を探しながら呟く。
「彼女さんのとこに行ってあげなくて。というよりも、真夜の家に来ちゃって」
────俺は言葉に詰まった。
そう、彼女が好きだった。
じゃあ今は……?
「やっぱりお前がいい」とか「いや、別に特に意味はないから」とか、口から出てこようとする言葉は全て馬鹿馬鹿しく、俺は答えないことにした。
別にそれを気に止めることもなく、「あった」と少し嬉しそうに真夜はコーヒーを作り始める。
この前会ったときよりも確実に痩せた体は白すぎて、触ると消えてしまいそうだと思った。
「…やっぱ邪魔だったかな」
俺が質問を返す。
「ふふっ」と楽しそうに小さく笑った真夜は何も言わなかった。
それは俺が望んだ答えでもあって、相変わらず真夜は人間が出来ていると感心してしまう。
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