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「ああ、まぁな。今日もダルいが家族の為だ」
にいっと笑って、父親は一馬の頭をガシガシと撫でた。
「気をつけてくださいね。宗一さん」
「ああ、気を付けるよ。水希」
二人は軽く、挨拶を交わす。毎日こうやって水希は宗一を仕事に送っている。近所からいつまでも新婚のような仲の良いカップルということで有名だ。
「千恵も補習、ガンバレな」
千恵は日曜だというのに数学の単位が足りなくて補習に出なければならない。宗一の言葉に小さな苦笑いを漏らした千恵を一馬は見逃さなかった。
宗一が出ていったあと、一馬が早速言葉を発する。
「なぁんだ。姉貴はまた算数の勉強ができなくて補習かぁ~…だっせぇなぁ」
「…算数じゃねぇっ!!数学だっあんな低レベルな教科じゃねぇんだよっ高校はッッ!!!!」
一馬はまだ小学6年なので高校1年の千恵に比べれば確かに勉強は簡単だ。だが一馬は算数と体育だけは出来る奴だった為、コレに関してはかなり得意気なのである。
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