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「バッカじゃねぇの?親父が言ってたぜ。数学なんて算数に毛が生えた程度だってよ~」
「このクソガキいぃいッッ!!!!黙れえぇええッッ!!!!」
一馬の言葉にブチキレる千恵。ソレを合図に一馬はダッシュで家から駆け出す。千恵も追いかけるようにして家を出ていった。
「二人とも、気をつけてね~」
元気な子供たちを見送りながら、水希は小さく手を振る。
「一馬、遅いぞ」
一馬の友達らしき、少年の声が土手の下からブーイングを叫ぶ。
「ワルい、ワルい。姉貴を撒くのに時間掛かっちまって」
ボリボリと左右に乱れた黒髪をかきながら、一馬は土手を滑るようにして降りた。
「また千恵姉を怒らせたの?アンタってバカね~…」
呆れたように手の平を返したのはさっきの少年とは別の声だった。
「翔も美香も、まぁそんなに怒るなって。ホラ、約束の物持ってきてやったぜ」
一馬は二人の友達を宥めながら、袋からペットボトルで作ったロケットを出す。
「おぉ!今日こそはコレを宇宙に飛ばさなきゃなっ」
翔はロケットを見た瞬間、直ぐに機嫌をなおした。
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