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ガシッガシッ
グッ…ガシッ
「もぉ!何なのよ!」
気づけば再び真っ白な部屋の天井を向いていた。
手足にはベルトの枷が付いていて、何度引っ張っても外れはしない。
「いッ!…たぁ…。」
無理に引っ張った手首が痛む。さっきのヒューマノイドに掴まれた所だ。
じんわりと涙がにじみ、鼻が痛くなる。
「(泣いちゃだめ!泣かない…。)」
独りぼっちの自分に言い聞かせるエリカ。
目を瞑り、故郷を思い浮かべる。
「(みんなに会うために、逃げなくちゃ。)」
空調の音だけが室内に響く。
頭の中で作戦を練るエリカ。
「(迎えに来るのは人間に違いないから…枷を外されたら…)」
その時、自動扉が開く音がした。
「(来た!)」
足音が自分の方へと向かってくる。
かたく目を瞑り、催眠状態を演じるエリカ。
カタンッと施錠が解かれる音が響き、人が牢に入ってくる。
カチャカチャ…ヒュッ
速やかに枷が外されていった。
「(焦るな…焦っちゃだめよ…)」
鼓動が速く打たれる一方、何の気配も感じないエリカ。
「(…どうなってるの…!?)」
タイミングを逃したのかと余裕がなくなっていく中、ふわりと柔らかな風が頬に感覚を掠めた。
「(な、何…!?)」
ヤケクソとばかりに動こうとしたとき、声が発せられた。
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