0人が本棚に入れています
本棚に追加
「…まだ、眠っているのか…。」
その声に聞き覚えがあった。
「…覚醒薬が必要か…。」
「(薬…!?ちょっ)…ちょっと待ッ…」
つい、注射針を思い出し声を上げてしまったエリカ。
バチンと何かを遮ろうとした自分の手に当たる音がする。
それに目を開けば端麗な顔が間近にあり、自分の手はその両頬をとらえていた。
「…目は醒めていたのか。」
そんな間抜けな状態であろうが、先ほどあった黒服のヒューマノイドが感情のない言葉を発した。
「…;;あは、あはは…!!そ、それ!危ないから引っ込めてよ!!」
苦笑いしつつ、横目に見える液体入り注射器を気にするエリカ。
そして意外にも、注射器を引っ込めながら普通に立つ姿勢になるヒューマノイド。
「(今だ!)」
その隙にエリカはベッドから降りて、牢の扉に駆け出そうとした。…が
「ふあっ!!」
グイッと後ろへ引っ張られた腕。
今度はその腕を後ろにねじ曲げられてしまった。
「いっ…あっく!!」
苦痛に顔を歪めるエリカ。
「待て。」
「だから知らないって言って…」
エリカが怒鳴ろうとした時だった。
「そこまでだ№1207。」
感情のない平坦な声がふる。
牢の前の廊下に規則正しくリーダーを先頭に整列する白服たち。
「№1207。お前には此処へのアクセス権利はないハズだ。これは規則違反、処分処置に価するものだ。」
カチャリと銃口を向けられるヒューマノイドとエリカ。
「嫌よ!こんな所で死ねないわ!離して!」
向けられた銃に怯むエリカだが、その腕を拘束したまま離さない№1207と呼ばれるヒューマノイド。
「…28705を離せ。」
リーダー格が一歩踏み出したときだった。
最初のコメントを投稿しよう!