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「…まだ、眠っているのか…。」 その声に聞き覚えがあった。 「…覚醒薬が必要か…。」 「(薬…!?ちょっ)…ちょっと待ッ…」 つい、注射針を思い出し声を上げてしまったエリカ。 バチンと何かを遮ろうとした自分の手に当たる音がする。 それに目を開けば端麗な顔が間近にあり、自分の手はその両頬をとらえていた。 「…目は醒めていたのか。」 そんな間抜けな状態であろうが、先ほどあった黒服のヒューマノイドが感情のない言葉を発した。 「…;;あは、あはは…!!そ、それ!危ないから引っ込めてよ!!」 苦笑いしつつ、横目に見える液体入り注射器を気にするエリカ。 そして意外にも、注射器を引っ込めながら普通に立つ姿勢になるヒューマノイド。 「(今だ!)」 その隙にエリカはベッドから降りて、牢の扉に駆け出そうとした。…が 「ふあっ!!」 グイッと後ろへ引っ張られた腕。 今度はその腕を後ろにねじ曲げられてしまった。 「いっ…あっく!!」 苦痛に顔を歪めるエリカ。 「待て。」 「だから知らないって言って…」 エリカが怒鳴ろうとした時だった。 「そこまでだ№1207。」 感情のない平坦な声がふる。 牢の前の廊下に規則正しくリーダーを先頭に整列する白服たち。 「№1207。お前には此処へのアクセス権利はないハズだ。これは規則違反、処分処置に価するものだ。」 カチャリと銃口を向けられるヒューマノイドとエリカ。 「嫌よ!こんな所で死ねないわ!離して!」 向けられた銃に怯むエリカだが、その腕を拘束したまま離さない№1207と呼ばれるヒューマノイド。 「…28705を離せ。」 リーダー格が一歩踏み出したときだった。
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