壱 『秀吉』と書いて『ひできち』と読もう

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壱 『秀吉』と書いて『ひできち』と読もう

「もうすぐ今年度も終わり、ということで、御二方、新年度に向けて何か意気込みは御座いますか?」   「麿の目標は『八朔(はっさく)の白い皮を手で綺麗に剥けるようになること』、でおじゃるな」   「果てしなく低レベルな目標をどうも有り難う御座います。それで、勝頼様は――ああ、」   「何だ」   「『再来年度から頑張る』、ですよね」   「うん、否定できない。できないが、それを一旦脇に退けた上でもちゃんとした目標ぐらいあるわ」   「な、なんだってー」   「……その反応はもの凄く気になるが、まあいい。目標というのは他でもない。『健康のため、なるべく歩くようにする』ということだ」   「なるほど。そういえば、『ちょっとダイエットしようと思う』、と、少し前に仰ってましたもんね」   「そういうことだ。じゃあ、ラノベの新刊を買いに駅前の本屋まで行ってくる。えーっと、自転車の鍵は何処に置いたっけな?」    「……」
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