第1話 1/2

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――じゃあね! また会いましょう、一刀! 唐突に声が聞こえた。 俺が愛している女の子の声だ。 凛々しく、力強い。 ある時は戦場、またある時は寝台の上で、俺はその声をずっと聞いてきた。 最後に聞いたのは月の綺麗な静かな夜だった。 その声はとても辛そうな声音だったのを覚えている。 でも、今聞こえた声は違う。 まるでこれから始まるパーティを楽しみにしているような明るい声だった。 その声の余韻で、俺の胸も温かくなる。 一刀「華琳……」 何気なく目を開けた。 痛いぐらいの明るさが、視覚から脳に伝わる。 慌てて目を細め、光に慣れさせるために今度はゆっくりと目を開けていく。 一刀「……え?」 自然と声がこぼれ落ちた。 目の前に広がる荒野に対する、それが俺の精一杯の反応だった。 一刀「え、え、え?」 360度、見渡す限り同じような景色が広がっている。 まるで海の真ん中に取り残された船からの景色のようだった。 水のかわりに砂の海だけど。 一刀「えーと……」 いきなり見ず知らずの場所で目を覚ましたとは思えないほど、冷静だった。 それもそのはず。 一刀「まぁ、2回目だしな」 そう、最初に華琳たちの世界に来たときと同じような状況だったからだ。 さすがに2回目ともなるとあまり驚かない。 そして、状況への順応も早い。 一刀「とりあえず、直前の状況を思い出すか。たしか俺は華琳と別れて――」 気がついたらここにいた。 一刀「……あれ?」 その間の記憶がまったくない。 寝たと思ったら一瞬で朝でした、みたいな感覚だ。 華琳に別れを告げる同時に、意識が遠くなっていった感覚は覚えている。 ただ、その後の記憶がない。 なんとなく、俺が本来暮らしていた世界に戻るのかと思っていたんだけど……。 一刀「明らかにここは日本じゃないしなー」 再度、辺りの様子を確認する。 おそらくまた三国志の世界で間違いないと思う。 根拠はまったくないが、なんとなく肌に感じる空気が同じだ。 一刀「……まさか時代が違うとかじゃないよな」 何気なくそんな可能性が口をついて出たが、否定はできない。 一刀「……」 まあ、いいか。 一刀「これ以上考えてもしかたないよな。とりあえず、何処かの街に行かないとどうにもならないだろうし」
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