突然の依頼

2/7
前へ
/20ページ
次へ
 12月24日、自称探偵の瀬島学はクリスマスイブにもかかわらず、浮気調査の結果を報告するため、事務所兼自宅の応接室で依頼人の女と対面していた。 「言いにくいのですが、ご主人、ばっちり浮気してますね。しかも、一人、二人ではなく五人もの女性と。」  瀬島はまったく言いにくいといった様子ではなく、むしろはっきりと声高らかに言った。 「…まぁ、調査した資料などはすべてお渡ししますので、あとは弁護士かなんかに頼んでください。」  唖然としている依頼人に口早にそう言うと、資料の入った茶封筒を渡し、背中を押して玄関まで連れて行った。 「ご利用ありがとうございました。お気をつけてお帰りください。あ、年末までに調査料振り込んでおいてくださいね。では。」  またしても口早に話すと、返事も聞かずに扉を閉めた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加