再会

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綾が麗と共に忽然と姿を消してからもう12年が経つ。 両親は二人が姿を消してしまっても心配することは無く、逆に綾がいなくなった事を喜んでいた。 18歳になった光は、その時の両親の顔が忘れられない。 例え嫌っていたとしても、自分たちの息子が失踪してしまったのに、何故喜び笑うことが出来るのか理解出来ない、理解したくなかった。 綾がいなくなって少しした頃から、光はよく夢を見る。夢の内容はいつも、小さくうずくまり大きな瞳を赤く染めながら、涙を流し続ける綾の姿。 たった一人の双子の弟だった。あまり会話をすることはできなかったが、いつも自分たちに隠れて泣いていた綾が忘れられない。 本来ならば、二人で分け合い、喜び、泣き、助けあわなければいけなかった。 綾に、何もしてやることができなかった光の心の中には、「罪悪感」という感情がこの12年間、ずっと渦巻いていた。
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