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庭では祝いの準備が整い、屋敷の主人である両親も帰宅して誕生日会が始まった。
綺麗な庭の飾り付け。
派手に鳴るクラッカーの音。
誕生日を祝う両親や使用人達の声。
吹き消されるケーキの蝋燭。
全てが光のために用意されたもの。
それを想像しながら1人声を押し殺してなき続ける綾。
物心がつく前からからそうだった。
産まれた時もはじめに産まれた光ばかりを構い、誕生日も全て光の為だけに開かれ、写真も、綾の姿などどこにもない。
それを知った綾は涙も出なかった。
どうして光ばかりが愛されるのだろうか。
どうして自分は誰にも見て貰えないのか。
その事を考えるのさえもう面倒になっていた。
愛されるのは光。
愛されないのは綾。
それが当たり前。
そういう結論を、既に自分の中で出してしまっていた。
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