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「ここが死神王様のおられる死神大聖堂の入口、死神大門です!」
骸骨が誇らしげにそう言ってきた。
いるよね。地元ってだけででかい顔するやつ。
因みに俺は自室でしかでかい顔はしない。
なんという謙虚さ。
さて、今の俺は霊体、所謂幽霊となって死神界へと来ている。
なぜ霊体なのかと聞くと、この《死神界》に行くにはどうしても生身の体では行けない、とのこと。
それならせめて説明を挟んで欲しかった。
プロとして、そこんとこどうよ。
そう言うと骸骨は誇らしげに聞いてきた。
「でも痛みはありませんでしたよね?」
悔しい事に痛みはなかった。
正に瞬殺だったからな。
だが、トラウマという心の傷のケアについてはどうするつもりだ。
自然治癒を待つなんて言った日には太陽拳くらわすぞ。
それはさておき、確かにこの門は凄い。
なにが凄いかというと、まず大きい。
どれくらい大きいかというと、ゴ○ラ(松井じゃないよ、怪獣王だよ)が頭を気にせず余裕で通れるのではないか、と思うくらいにでかい。
見上げるだけで首が疲れてくる。
次に鳥肌が立つほどに恐ろしい外観。
大きな門が真っ黒の時点で既に不気味だが、更に近くで見ると赤い筋が何本も張り巡らされていた。
しかも、その赤い筋が脈うっているではないか。
もう血管としか思えない。
ということは、まさかこの門は生きているのだろうか?
もし作り物なら悪趣味と言わざるを得ない。
また、細かな彫刻もなされているが、どう見ても人間が泣き叫ぶ様子にしか見えない為、不気味さが増して最早禍々しい。
あまりにも不気味で気味が悪いため、なんとか浄化できないかと試しにお経を読んでみた。
すると門全体が震え、脈が早くなり、若干斜めに倒れた。
どうやら効果は抜群のようだ。ざまぁ。
だが、この門にも効いたが俺自身も自分のお経で昇天しかけたので、あまり笑えない。
ちなみに、俺の隣で骸骨も四つん這いになって体を大きく震わせ口と鼻から牛乳を垂らして昏倒しかけていた。
お前、俺の家が仏教だったら死んでたぞ。
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