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ティルは風と火、速度と威力という攻撃特化の神獣で、更に大妖精という上級に位置する存在だ。
どれほどランクの高い魔武器だろうと、人間の作った魔武器が、神獣の、しかも上級のティルの攻撃を防ぎ切れるなど見たことも聞いたこともない。
あれ程の物を持っていると言うことは報告にあった黒い不思議な物体の力も真実なのだろう。
エリスはそう思い、この試合を終わらせる為に彼に頭を下げ騎士になってくれないかと頼もうと口を開いた。
が、それより早く彼が口を開き、エリスに言った。
「なんだ。大きな口を叩いておいてこの程度か。」
(……ほぅ、儂にこの程度と申したか。いいだろう。とことんまでやってやるわ、化け物め)
「貴様っ! 舐めるなよ、『にーと』! 我が契約せし神獣よ。その契約に従い力を貸せ! 顕現せよ、リル、チル!」
エリスは二人の大妖精を召喚する。
これでフルーツの詰め合わせが更に二つ増えたが問題ない。
(あの無礼者を倒せるならこの程度の代価いくらでも払ってやるわ)
リルとチル、そしてこちらに戻ってきたティル。
この三人を見てさすがに目を丸くしている奴を見て何故か頬が緩んでしまう。
「行くぞ、『にーと』。まぁ、死なん様に必死に頑張ることじゃな。無理じゃと思うがの」
こうなったら、もっとイジメ抜いてやろうと思いまた顔が緩む。
これは楽しくて仕方ないのかもしれない。
よし、久しぶりに楽しんでやろうとティル達に攻撃命令を出そうと思った時、奴の隣に馬の形をした炎があることに今更気づく。
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