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(あれは確か……そうだ)
天馬だ。空を走り、天を貫く角を持つと言われる最上級ランクの神獣。
あの神獣と、その神獣と契約している者などお伽話の中でしか見たことがない。
理由は彼らが人間に強い警戒心を持っている為、近づく事もできないからだ。
更に、彼らは他の神獣達より相手の心を正確に読み取ると言われている。
(その天馬が奴と契約しているということは奴の心は天馬が認める程に純真ということか)
やはり悪い奴ではない。
無礼者だが、とても面白い奴だ。
「天馬か。面白い。相手にとって不足なしじゃ! ゆけっ、大妖精達よ! 天馬に打ち勝ち、あの無礼者に正義の鉄槌をぶち込むのじゃ!」
だからと言ってエリスは彼を許す気もないし、こんなに楽しい事をやめる気もない。
ティル達は三人が集まり、一つの魔弾となって彼と天馬に向かっていく。
「サクラよ! 我が名が最強である理由をここに証明しろっ!」
彼の言葉に反応してこちらに向かって来る天馬。
その体に纏う炎を頭の額に集め、一本の角を精製する。
あれが天を貫くと言われる角か。
それだけ本気で向かって来る理由はティル達が強敵だからか、それとも主人を守る為に全力を出しているだけか。
ティル達と天馬はその速度を緩める事なく距離を縮めていき、そして―――衝突した。
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