プロローグ

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椅子に腰掛け、待機させておいたパソコンを起こしてやる。 今日もハイにいこうぜ、相棒。 そうして右手にマウスを持ち、いつも巡回するサイト様に行こうとしたとき、背後になにかの気配を感じた。 ニートな俺に気配を感じる能力があるのかは甚だ疑問だが、気になったのでなんとなく軽い気持ちで後ろに振り向く。 するとそこには――身の丈よりも長い漆黒の鎌を持った骸骨が立っていた。 ふむ、朝起きて今に至るまで(と言っても、起床してから30分ちょい)を振り返ってみたが……。 なるほど、わからん。 今の過程の中には、どう考えても死神のような骸骨を呼ぶアクションは含まれていない。 いつも通りのだらけた日常を送る為の好スタートを切れたと思う。 なら、何故骸骨が俺の部屋にいるんだろう。 ……ダメだな、考えてもわかる筈もない。 そうなると本人に聞くしかないか。 分からない事をずっと考えているよりはいいだろう。 うん、そこまでは分かっている。 だが――急に部屋に現れた骸骨とのファーストコンタクトは、どのように行えばいいんだろう。 というか、まずは勝手に部屋に上がり込んだことについて咎めるべきだろうか? いや、相手がもし切れ易い性格をしていれば逆切れされかねない。 そうなると運動なんて高校卒業してからまったくしていない俺には勝ち目はないだろう。いや、体が骨だけのこいつになら勝てるか?
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