災いの星

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 その日は、何事も無く過ぎていた。  昼に地震があった以外、何も無さ過ぎるほどに。   「お客さん来ないねぇ~、キルリオ~」  椅子の背を抱えるように座っていたユロウが、ため息をついてもたれ掛かる。あまりに暇過ぎて、ダレてきたらしい。    俺は読んでいた伝記から目を離し、間の抜けた顔をするユロウに苦笑した。 「地震の後だからな。いろいろとゴタ付いてるんだろう」    召喚したコウモリ達に家具を押さえさせなければ、今ごろ室内は見る影も無かっただろう。  本当に昼間の地震は大きかった。    「えぇ~」と不満気な声を出したユロウが、また盛大なため息を付いて、椅子の背に顔を埋める。   (だが、確かに少しおかしい……)    俺はユロウに気付かれないように、眉を寄せた。
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