災いの星

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 結局――夕方になっても客がこず、事務所を閉める時間になった。   「ふぁ~。終わった~」    あくびをしたユロウが、ぐう~っと背中を伸ばす。その様子は、まるで猫のようだ。  少し笑った俺は、3冊目の地方誌を棚に戻した。 「――結局、誰もこなかったな」  そして一応、ユロウと一緒に、軽く事務所の中を掃除する。  明日になれば、客が来るかも知れない。    そして退屈そうにあくびをしたユロウが、事務所の扉を開け、何気なく足を踏み出した。   「ムギュ……」
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