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足の下から爽やかな声が聞こえるやいなや、ユロウは足を上げるよりも早く、後ろに跳び退いた。
「ごっ、ごめんなさぁ~いっ!!」
子供のようにビクビクと震えるユロウを抱き、俺は突然の来訪者(?)に目を向けた。
普通なら――踏まれて怒る所なのだろうが、その本人は至って楽しそうに体を起こしている。
「いやぁ~、器用だね。踏んでた足には、まったく力を掛けず。地に付いた足のバネだけで跳ぶなんて」
感嘆の声を出しながら起き上がった男が、軽く服の前を払う。
素性を知らない者が見れば、その立ち方から手の動きまで、どれを取っても美しいのに。
俺は己の不運に、何度目とも知れないため息をついた。
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