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兵之助の城──。
「おい。忠孝を呼んでこい。」
「はっ!!」
兵之助を一回り小さくしたような男が入ってきた。
「兄者。どうした?」
この男は兵之助の弟の鬼羅忠孝。
「まぁ座れや。…再び河原村に攻め込む。お前には先発隊として出陣してもらいたい。」
「兄者は?」
「此度も今日と同じ、河原村に攻め込む。河原村は双子山の麓。お前は麓から攻め込み、俺は双子山の裏手を下る。」
「なるほど…挟み撃ち…つまり鶴翼の陣だな。」
「まぁそうなるが…最後まで聞け。俺たちは時間を置いて攻め込む。つまりお前たちが戦をおっぱじめた後に敵の陣形が崩れ始めた時…俺たちが後ろから一気に叩く。奴らは今日の一件で河原村に増兵を送り込んでいるはず。数では負けているが、策があれば勝てる。」
「……ふむ。さすが兄者。していつ攻め込む?」
「夜明けだ。」
「なっ!!夜明け?」
「今日攻め込んだばかりで…明日はない。…だからこそ叩く!!」
「ふっ…適わぬわ。」
「では戦の支度にかかれ。」
「御意。」
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