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織田の城、天守閣─
渉は天守閣から見える街を眺めていた。明かりはひとつもない。闇にのまれた街が広がっている。
『俺ずっとこのままこの時代に取り残されるんかなぁ…。』
信長が入ってくる。
「渉…どうした?」
「ん?あぁ…信長さん。」
「寂しいか…辛いか…。」
「……。」
「寂しいことや、辛いことは恥ずべきことではない。…人はそうやって成長してゆくものだ。」
「俺はそんなに強い人間じゃない…。」
「はじめから強い人間などおらぬ。だからこそ強くならねばならんのだ。」
「そうか………なんかありがとう。」
「礼などいらぬ。……喜助…どうした?」
どろんっ
再び忍者が現れた。
「鬼羅忠孝の軍に不穏な動きが御座います。」
「兵之助…どこまでも読めぬわ。…秀吉は?」
「はっ!!既に河原村に陣を構えておりまする。」
「…そうか。敵はどこから?」
「おそらく…双子山麓…真正面から攻めてくるでしょう。」
「真正面から…?兵之助のことだ……また奇策を練っておるであろう。」
「信長さん…!!…その河原村周辺の地形図ある?」
渉が割って入る。
「あるが…どうした?」
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