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闇がなにもかもを包み込む夜の中、渉と信長を先頭に織田の兵たちが城を出た。
「なんか緊張する…。」
「はっはっは!!渉は戦が初めてか。」
「未来に戦なんかないよ。」
「そうか…。それは素晴らしい世の中だ。」
「信長さんは戦が好きなんじゃないん?」
「まぁ好きではあるが…なくなれば良いと思っておる。刀を交えずともわかり合える時が来るはずだ…儂はそんな世を作りたい。」
「すげぇなぁ。」
「渉にはまだ早いな。若いからな!!はっはっは。」
そんな話をしているうちに、一行は双子山の南、南山に到達した。
山の下、河原村には羽柴秀吉が陣を構えている。
「さて渉の策が兵之助の奇策を上回るか…兵之助が上回るか…。天のみぞ知る。」
「絶対に大丈夫。」
「はっはっは。…じきに夜があける。」
辺りが少しずつ明るくなってきた。
「信長様っ!!…鬼羅の兵が西より現れました!!」
「来たかっ!!……禿鼠には…?渉の策も伝えておるか?」
「伝えておりまする!!ご安心を…。」
「そうか。……さぁ始まるぞ!!!!」
ぶぉぉおおぉぉ
ホラ貝の音が闇夜を切り裂いた。
これは決して後世に語られることのない戦。
河原村の戦いの始まりである。
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