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兵之助の軍勢は山を下り河原村へと入った。
その時兵之助の目に映ったものは、変わり果てた姿となった自分の手下たちであった。
織田の軍勢は既に引き上げており、河原村の入り口には横たわる鬼羅の兵のみであった。
「忠孝…!!!忠孝を探せっ!!!」
その時、あまたの屍の中から刀が伸びた。
「忠孝か!!!」
兵之助が駆け寄る。
「……兄…者……かはっ!!」
忠孝は頭や胸…至る所から血を流しており、もはやどこから血を流しているのかもわからぬ状態であった。
「死ぬな!!死ぬな!!忠孝っ!!!!」
「……ハハッ…す…まないな兄者。……兄者の弟に…生まれたこと…かふっ!!……誇りに思う!!」
ガクン
「忠孝?忠孝!!忠孝ぁ───!!!」
忠孝は兵之助の腕の中で息を引き取った。
「許さぬ!!…絶対に許さぬぞ!!!!!」
「兵之助…しくじったようだね。」
「…!!…誰だ!!!」
兵之助の後ろから神武大和が現れた。
「貴様っ!!見ていたのか?」
「あぁ…ずっと見ていたよ。」
「なぜ助けなかった!!!!」
「おいおい。随分勝手な言い分だな兵之助よ。…俺は今回の件は何も聞いていないからな。」
「くっ…。」
「まぁはっきり言って、君たちには失望したよ。」
「なんだと…?俺は今機嫌がわりぃんだ…あんま嘗めた口聞いてっと、いくらてめぇでもぶち殺すぞ。」
「そう簡単に殺せまい。」
「ふんっ!!上等だ。やってみるか?」
兵之助が刀を抜く。
「兵之助よ。刀を向ける相手が違うのではないか?」
「関係ねぇ。今ここでケリつけてやるよ!!」
「これだから猿は困る…。」
大和はやれやれという顔をしている。
「……なんだと?」
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