河原村の戦い

8/24
前へ
/470ページ
次へ
兵之助の軍勢は山を下り河原村へと入った。 その時兵之助の目に映ったものは、変わり果てた姿となった自分の手下たちであった。 織田の軍勢は既に引き上げており、河原村の入り口には横たわる鬼羅の兵のみであった。 「忠孝…!!!忠孝を探せっ!!!」 その時、あまたの屍の中から刀が伸びた。 「忠孝か!!!」 兵之助が駆け寄る。 「……兄…者……かはっ!!」 忠孝は頭や胸…至る所から血を流しており、もはやどこから血を流しているのかもわからぬ状態であった。 「死ぬな!!死ぬな!!忠孝っ!!!!」 「……ハハッ…す…まないな兄者。……兄者の弟に…生まれたこと…かふっ!!……誇りに思う!!」 ガクン 「忠孝?忠孝!!忠孝ぁ───!!!」 忠孝は兵之助の腕の中で息を引き取った。 「許さぬ!!…絶対に許さぬぞ!!!!!」 「兵之助…しくじったようだね。」 「…!!…誰だ!!!」 兵之助の後ろから神武大和が現れた。 「貴様っ!!見ていたのか?」 「あぁ…ずっと見ていたよ。」 「なぜ助けなかった!!!!」 「おいおい。随分勝手な言い分だな兵之助よ。…俺は今回の件は何も聞いていないからな。」 「くっ…。」 「まぁはっきり言って、君たちには失望したよ。」 「なんだと…?俺は今機嫌がわりぃんだ…あんま嘗めた口聞いてっと、いくらてめぇでもぶち殺すぞ。」 「そう簡単に殺せまい。」 「ふんっ!!上等だ。やってみるか?」 兵之助が刀を抜く。 「兵之助よ。刀を向ける相手が違うのではないか?」 「関係ねぇ。今ここでケリつけてやるよ!!」 「これだから猿は困る…。」 大和はやれやれという顔をしている。 「……なんだと?」
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1094人が本棚に入れています
本棚に追加