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「のぉ…渉!!お主の家は武士の家系か?」
「いや俺の家は小料理屋をやってるよ。」
「ほぉ…小料理屋。」
「うん。……常陸ってゆう小料理屋なんだ。」
「常陸とな。…この街にも常陸という小料理屋があるぞ!!」
「え?マジで!!!」
「…マジ?」
「本当に?ってゆう意味だよ。」
「はっはっはっは!!渉は不思議な言葉を使うのぉ。」
「未来では普通やで。」
「そうだ渉。お主に名を授けよう。」
「え?いやいいよ。」
「何を言いますか!!渉殿!!主君から名を授かるというのは大変名誉なことに御座いますぞっ!!」
光秀が割って入った。
「では光秀よ。お主が渉に名を授けてやれ。」
「私がでございますか?」
「禿鼠。お主も一緒に考えよ。」
「そうで御座いますなぁ…。」
秀吉が顎を触りなが俯く。
しばらくの沈黙の後、光秀が顔を上げた。
「思いつきました。」
「ほぅ。光秀…述べてみよ。」
「森…蘭丸というのは如何でしょうか?」
「森蘭丸…?」
「はい。森に咲く蘭という花は、美しく。それは独特な形をしております。…そして金蘭の契りという言葉がありまして、それは…」
「心をひとつにした友情は、香りの高い蘭のように美しい…か。」
秀吉が割って入る。
「はっは。秀吉どのもご存知でしたか!!」
「ほぉ。なかなか気の聞いた名ではないか!!…渉っ!!どうだ?」
「うん!!ええと思っ………」
『ちょっと待てよ…。森蘭丸って織田信長の側近ちゃうかったっけ…?』
「ん?気に入らぬか?」
「…いやいや!!めっちゃ気にいった!!!ありがとう。」
「そうか!!!いやぁ今日はいい日だ!!!さて飲もう!!!」
宴は朝まで続いた。
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