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朝倉軍本陣付近──
「景健様はどこに行かれた!!」
「なぜ前線に出てこられないっ!!!」
ついさき程まで本陣にいた朝倉景健であったが突如姿を消した。
朝倉景健は本陣から少し離れた林の中にいた。
「ん─ん──!!」
手足は縛られ、口には手拭いを噛まされている。
「拙者は命は奪わぬ。…この戦が終わるまでここにいろ。それだけで良い。」
「ん!!ん!!ん──!!」
「何か言いたそうだな…。」
男が景健の口から手拭いをとる。
「ぶはっ…!!貴様何者だっ!!!!!」
「拙者か……拙者は徳川に仕える忍…服部半蔵で御座る。」
「なっ!!あの服部半蔵か!!!!」
「どの服部半蔵かは知らぬが、服部半蔵だ。」
「何が狙いだ!!!」
「朝倉軍の総大将であるお主が前線に出なければ、士気が下がるであろう。それが狙いだ。」
「はっはっは!!そんなことで朝倉の兵は崩れぬ。」
「ほぅ…ではあそこに上がる黒煙が見えるか?」
景健は半蔵が指差す方を見た。
「あの位置は朝倉軍の本陣がある場所だ。」
「なにっ!!!」
「つまり朝倉軍の本陣は落ちた。」
「!!」
「では拙者は他にも仕事がある故…さらばっ。」
シュッ
半蔵は姿を消した。
「くそぉっ!!!!ほどいていけっ!!!!」
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