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秀吉幼少期──
秀吉は武家の出身ではない。半農半兵の家に生まれた。
「秀吉よ。……なぜ羽柴家は武家ではないかわかるか。」
この男は秀吉の父である。
「先祖代々農家だからですか?」
「いや……羽柴家は元々武家だ。」
「!!」
「農家でありながら戦の時は兵として駆り出される。……それは何故か。」
「何故ですか?」
「かつて戦の前線に出て、活躍していた羽柴家であったが……その強さ故に危険視されたのだ。人は強さに憧れ…同時に強さを恐れるものだ。……お前は強くなりたいか?それとも強さを恐れるか?」
「強くなりたいです。」
「そうか…。ならば羽柴家の強さの由縁を教えてやろう。」
「……。」
「羽柴家の者のみ開眼すると言われる夕瞳眼と呼ばれるものがある。」
「せき…どう…がん?」
「瞳が夕陽のように朱く染まることからそう呼ばれる。」
「それはどういった……。」
「夕瞳眼が開眼した時、神憑りな洞察力を得る。相手の動きや近い未来が見えるという。」
「すごいっ!!……いつになったら開眼するのですか!!!」
「夕瞳眼は平凡な生活を送っているだけでは開眼しない。死の境地に立たされた時や集中力が極限にまで研ぎ澄まされた時、己の身を守ろうと夕瞳眼が開眼する。」
「死の境地…。」
「生半可な集中力では開眼しない。」
「父上は開眼しましたか?」
「儂か…?……はっはっは!!……儂は開眼しておらん。しかし儂の父上は開眼しておった。」
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