8.破壊の果てに

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それでも、やっぱり。 オレは黙っていることができなかった。 「昔のあんたがどうかは知らないけど……今のあんたが弱いのは当然だろ」 浅くため息を吐き、倒れた男へ言の葉を落とす。 「オレは現在(いま)を生きてる。立派じゃなくても、人並みに踏ん張れてるくらいの自信はある。 過去にすがって立とうとしないヤツには、負けねぇし負けられねぇよ」 「……」 シグマは反論も反応もしない。 目に悲しげな灯を抱え、抜けるように青い空を眺めたまま、呆然としている。 再度ため息をつき、腰を折って右手を差し出した。 「まずは立て」 この言葉を聞き、シグマは目を見開いて、オレの顔を凝視する。 それがあんまり滑稽で、親しみに溢れていて……ようやく彼の心に触れられた気がして、嬉しくて。 オレは思わず、満面に笑みを浮かべてしまった。 「何事も、それからだろ?」 オレの表情から、シグマが何を読み取ったかは分からない。 が、彼の眼光が一瞬だけ和らいだのは、決して見間違いじゃないだろう。 数秒の間を挟んで、まだ爪を備えたままの右手を、ゆっくりと伸ばしてきた。 ────
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