9.悩んで苦しんで

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それから、病院には右京氏と輝一さんも居た。 寮を襲撃してきたシグマの仲間に、かなり手酷い怪我を負わされたらしい。 が、二人とも至って元気だった。心なしか、以前より打ち解けていた気もするし。 まあ、それはともかく。 フェルムとの契約を果たしたことを伝えると、右京氏は指先まで包帯に巻かれた右手を、オレの頭にそっと乗せて言った。 「……お疲れさん」 短い言葉は温かく、右京氏も喜んでくれていることを、如実に表していた。 その歓喜を表に出さなかったのは、単に気恥ずかしかったからなのか。 それとも……。 「……はぁ」 漏れたため息が、茜色の陽光に溶けていく。 戦闘中は気を向ける余裕もなかったが、神力による肉体強化は、身体能力も治癒力も爆発的に向上させるらしい。 右京氏同様、オレも腕や頭に包帯を巻いてはいるが、その下はだいたい完治していた。 しかし、まだ痛い。 胸の奥が、重くて痛い。 「……」 もっと深くため息つけば、楽にはなるかな……? 考えていると、屋上の入り口である鉄扉の開く音が、背後で小さく響いた。
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