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それだけのこと。
それだけのことなんだけど恋が始まるには充分だった。
彼に抱き抱えられて下から彼を見上げた瞬間彼と目が合って、同時に私は恋におちた。
隣りのクラスで体育だけ一緒だった彼を実は私は全く知らなかった。
色が白くて物静かでメガネをかけた彼は正直余り目立たなかった。
私の抱き上げてプールサイドに上がる光景にプール中がしんと静まり返った。
彼は一言
「お前ら自分の仲間が溺れていることにくらい気付けよ」
と私の友達に嫌な言い方をすると私を降ろした。
友達は嫌味なやつ、と言っていたけれど、私の鼓動は速くなったままだった。
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