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当然、一部の生徒からは絶大な支持を得ているが、また別の一部の生徒(所謂『英数コース』と呼ばれる優秀な生徒のみを集めたクラス)からは猛烈に反発を食らっている教師であった。
年齢は二十五才。
現在、独身。
恋人の有無は不明。
但し、普段の言動から多分、シングルであろう事が推測出来る。上着の上からでは、はっきりとした事までは分からないが、学生時代に何らかのスポーツでもやっていたのだろう。180㎝以上の長身と、しなやかなバネに等しい身体つきをしている事が判る。その端正とも言うべき容貌と姿形から、それなりに女生徒からも人気のある教師の一人だった。
「え~と、ヒルデ・アルカードさんだ。まぁ、説明するまでもないか。この学校で英語を担当しているマリア・アルカード先生の妹さんだな。本当はこの四月からこちらに来る予定だったんだが、実家の方の都合で少々遅れたそうだ。当然、この学校に入学出来るぐらいだから、日常会話は勿論、国語、古典の授業についてこれるだけの語学力を持っている。外見にビビらずに積極的に話し掛けてみることだ。……もっとも、それで男どもが轟沈したとしても、俺の責任ではないがな。」
担任が黒板にヘタクソな字でヒルデ・アルカードの名前を書きながら、下らない…というか笑えない冗談を言った。しかし、彼女はそんな担任の声を聞いているのか、いないのか、黒板を背にしたままで、ただ、その場に立っているだけであった。
姉、マリアの金の髪とは違う銀…否、青銀の髪。
白色人種特有の……否、
違う。まるで病人のような透き通った白い肌。
そして、姉の蒼玉の瞳と対を為すような、彼女をより印象的にする紅玉の瞳。
近くに居るだけで『存在感』を感じさせるマリアと何処か儚げ…触れると消えてしまいそうでいて、常に触れていなければ、何処かに消えてしまいそうなヒルデ。どれ一つを取っても、姉…マリア・アルカードとは違っていた。ただ一つ、誰も他者を寄せ付けようとしない雰囲気のみが、この二人をまごうことなき姉妹と印象づける最大にして唯一の点かもしれなかった。
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