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俵衛の答えは単純明快であった。まぁ、科学捜査班の正式な調査報告書を待つ必要はあるだろうが、警察関係者内のデビル・サマナーである俵衛にとって、生体マグネタイトとは、そんなに珍しい物質でもなかった。…否、この『生体マグネタイト』がなければ、そもそも悪魔を召喚出来ない、という物質なのだ。
「被害者は、この神社の神主と、その孫娘の巫女。どちらの死体が、どちらのものかまでは、今の所判らないみたいですね。それと、奇妙な、何の動物か判ってはいませんが、明らかに人間以外の大きめの動物の足跡も残されています。」
綾乃が報告をまとめる。まぁ確かにピンクの肉塊となった、曾て『人』であったであろう存在から、一目見ただけで性別を特定出来る能力は、俵衛、真理亜、それに綾乃にも無いのは事実だった。
その点に関しても、後に科学的な捜査が進む事で特定が可能であろう。
また、巨大な動物の足跡も、現在存在している生物の足跡と照合する事によって、何者の足跡か、判別がつくであろう。
つかない場合は、未確認の生物……悪魔という結論に達する事は想像に難くない。
「それで、鑑識の方で凶器については?」
真理亜が先を促す。
「何か、あまり鋭くない刃物で力任せに薙ぎ払ったような傷が多数、見受けられるそうです。…というか、巨大な獣、熊や虎、もしくはライオンのような猛獣の牙や爪を持った何者かに襲われた、と考えた方が分かりやすいみたいですね。それと…」
そこまで告げて、一呼吸おいた後、綾乃は続けた。
「それと、被害者の遺体の一部に無くなっている部分があるそうです。恐らく、犯人が持ち去ったのかと…」
残留する生体マグネタイト。
巨大な猛獣らしき足跡及び、爪、牙の傷跡。
遺体の部分的欠損。
……恐らく、間違いないであろう。大都市部では結構起こっている…
「あ、済まないが一課の方は誰が来ているのかな?」
そろそろ頃合いであろう。少なくともここまで人間以外の存在が起こした可能性が高い証拠が残っている以上、斎藤かおり課長代理も文句は言わないだろう。そう思い、俵衛は捜査一課の若手刑事を一人呼び止めようとした。しかし……、
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