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「大丈夫か?少年。」
そう言うとその男の人は
思わず笑い返したくなる
ような男臭い笑みを
浮かべてみせた。
僕の持つ貧困なボキャブラリーで著せるなら
『タフでハードボイルド』といった言葉を体現したらきっとこんな感じなのだろう。
「あの…」
さっきから感じている違和感の事。
自転車ごと倒れた僕の
目の前に文字どおり『空
から降りてきた』この人の正体。
…僕には聞くべき事が山程あったのだが、
「説明は後だ。」
有無を言わせぬその男の人の宣言と、禍々しいとさえいえる悪寒が僕の口を閉ざしたのだった。
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
(妖獣ヘルハウンド1匹と凶鳥フケイが2匹か)
羊や子牛ほどの大きさがあり、およそ友好的とは
いえない唸り声をあげる
黒い獣と人の顔を持つ
まが鳥を一瞥して俺は
懐の携帯電話を取り出した。
「別にお前らの相手は
俺一人で十分なんだがな」
ピピッ
『サモンデビルシステム』
耳慣れた電子音と人工音声が起動を告げる。
「前途ある《人材》を守らないといけないんでな。」
『ファイル・ロード…
ケ、ケ、ケ、ケ、
ケルベロスッ』
「俺の『切り札』を使わせてもらおう。ケルベロスっ!少年の護衛を任せたぜ。」
俺は仲魔『魔獣ケルベロス』に指示を与えると
携帯型コンプと入れ替えに愛銃グロック17を握りしめた。
まずは縁起でもねぇ凶鳥
フケイから始末する為だ。
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