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では、『怪奇犯罪捜査チーム』はどうであろうか?
公にはそのような怪しげな組織は、警察には存在しない事になっていた。
だが、悪魔や悪魔に関係したオカルティックな事件が迷宮入りの様相を呈してくるとその捜査に参加し、オカルト的な解釈を基礎に解決していく『チーム』は確かに存在していた。
今から二年前、この徳島でもダークサマナーによる大規模な悪魔召喚が行われたが『通りすがりのデビルサマナー』を名乗る一団により阻止されたとの事だ。ただ、何らかの情報操作により、公式記録からその事は抹消されている。
各県警本部に設置されている『特別資料課』。
日本版『X-●IL●』等と他の捜査員から後ろ指を指されている部署……
そして、それが俵衛や綾乃が勤めている職場であったのだ。まぁ、『モルダー』と呼ぶには俵衛は、少々渋すぎる感はあるが……
「ところで綾乃。課長代理は?」
綾乃が入れた緑茶を一口飲りながら、来須真里亜(クルス・マリア)が尋ねた。
俵衛が『モルダー』なら、こちらは『スカリー』かと言うとそうではない。見事な銀の髪と、そのやや作り物めいた美貌。
本人曰く
「日本人とドイツ人のハーフだが、どうも容姿に関する限り、ドイツ人の血が濃く出たらしいな。」という事になる。
まぁ別に女性としての武器を使用する必要のない職場なのだが、
……それにしても、もう少し答えようがあるハズなのだが…。
この辺りも、やはりドイツ人の血の為せる業であろうか?
まぁ何はともあれ、いつも課長席の前に座って、
茶坊主の英政治(ハナブサ・セイジ)と何やら怪しげな相談事を行っている斎藤かおり(サイトウ・-)課長代理殿の姿が朝から見えないのも事実であった。
俵衛も綾乃の方を見つめて、彼女の答えを待つ。
「課長からの呼び出しで、英さんと二人で署長室の方へ出向いています。」
綾乃が答えた。まぁ課長代理が居ずとも困るような事もなく…と、言うか、むしろ邪魔な上司がいなければ仕事が余計に進む、という程度の上司であったのだ。
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