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「ああ。完全にやっちまったな。」
その男は瞬きはおろか顔色一つ変えず真っ直ぐタケシの眼を見つめたままそう言った。
「プッ」
その光景を見て吹き出すワタル。
「なぁぁんでだよどいつもコイツもぉ!!」
タケシはそう言いながら天を仰ぐ様にソファに踏ん反り返った。
ゴクッ…ゴクッ…
タケシにダメ出しの止めをさし、踏ん反り返る様を見ながらジョッキに入っていた生ビールをイッキ飲みしたこの男。
名前は鍛冶 フミヤ。
そう、俺である。
自分で言うのも何だが、顔はそれなりにイケてる部類に入ると思うし、見た目もチャラチャラしてる様に見えるかもしれないが、煙草もギャンブルもしない至って真面目な社会人だろう。
これといって取り柄はないが、ここ最近の自慢といえば1年前迄の大学時代に学園祭のミス・ミスターコンテストを4連覇した事だろうか?
確かに4連覇した事で周りの友達や女の子には持て囃されたが、ただソレだけ。
別に賞金が当たる訳でもなければ、海外旅行が当たる訳でもない。
ホントにただソレだけ。
時が過ぎて社会人になった今、そんな事等ただの自慢話にもならず仕事と時間に追われ何となく同じ様な毎日がただ過ぎ去っていくだけだった。
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