9人が本棚に入れています
本棚に追加
今日は邪魔なんかしなかった。理由なんかない。ただ気分が乗らなかっただけ。
「どうしたんだよ。」
備品の修理が終わった留が隣に座った。
「今日は邪魔しなかったじゃねぇか。」
「…別に。」
くしゃりと俺の頭を撫でて何かあったら言えよ、と告げて立ち上がりどこかに行った。
言いたいことは言えなかったし、やろうと思ってたことも出来なかった。いつもみたいに、笑いながら悪戯して困らせたかった筈なのに。
自分でも何がしたいのか分からなくなった。彼は優しいから、俺が何をしても怒鳴ったりしなかった。もんじや小平太とは違った扱いをされていた。
『胸が苦しい』
扱いが違うだけでそうなってしまうなんて。
息が出来なくなる。
涙が溢れる。でも、その涙を拭うことが出来ない。大粒の涙はぱたぱたと落ちていく。表情を変えることも出来ないなんて。
『彼は俺のことをどう思っているのだろう。』
考えても意味がないことは分かっているのに…何故考えるのだろう。
馬鹿な俺。
.
最初のコメントを投稿しよう!