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――――時は過ぎ、香苗の入学式の一週間前
「私としたことがぁぁぁぁあ!!!!」
その時、私の叫び声が水田家だけでなく町中に響いたらしい。(by近所の奥様方)
「どうしたの!?」
そこに私の叫び声を聞きつけたお母さんが慌てて駆け寄ってきた。
宥めながら理由を聞いてくる…
り、理由は…
「うぅ…制服買うお金……無くした…」
「な、何ですってぇぇぇえ!?」
しかし、母も私に負けないくらい大きな声だった。
まあ、普通はそんな反応になるけどね…
あー、耳潰れそう…
「どっどうしよう… お父さんに殺されるぅ…」
『どうしたんだ?』
そこにファイがやってきた。
事情を話せば、手伝ってくれると言う。
「それで、お金入ってるのが、オレンジのまあるい財布なんだけど…」
『…あぁ、それならさっきゴミ箱に入っていたぞ』
…今日は月曜日で、普通ゴミの回収日。
勿論、水田家もゴミをちゃんと収集場所に置いてきたわけで…
「マ、マジかよぉぉぉお!!」
いきなり私にピンチがやってきて参りました。
あのお金を無くしたなんて、お父さんに言ったらまた家をメチャクチャにされるのが目に見えている。
私はそれを阻止するために急いで家を飛び出した。
走って、走って、走って、走って、本当全力で走って、やっと到着した。
「ゼェハァ…ゼェハァ…
ま、まだごみ収集車来てない…
取りあえず、捜さないと…」
私は、手当たり次第にゴミを漁り始めた。
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