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銀色の髪に天然パーマのその後姿
着物の片方にだけ袖を通しているため
半袖の黒いインナーが見えている
髪型、服装から目の前のそいつが
誰だか容易に分かってしまった
おまけに腰に挿した木刀
やろーしかいねェ…
土『おい……』
ヨロヨロと左右にゆれる
男の肩を掴んだ
直ぐにくるりと振り返り
俺の顔を確認するやいなや
『…あれェ?多串くんじゃーん』
とやけに機嫌の良い返事が返ってきた
何回言っても俺のことを
多串くんとわざとらしく間違える
土『万事屋…』
坂田銀時
万事屋といういかにも
胡散臭い店のオーナー
池田屋の事件をきっかけに
腐れ縁でたびたび一緒になることがある
バカみてーな面して
なかなか読めねェやろうだ
くやしいが俺はこいつに喧嘩で…
いや負けてねェ!!!
俺は負けなんて認めてねーし!!
まァ、剣の腕は確かだ
土『なにしてんだてめェは』
銀『見りゃ分かるだろーがァ…銀さんはなー気持ちよぉく飲んで帰るところなんですぅ。邪魔しないでください汚職警官がコノヤロー……』
頬を紅色に染めながら
俺に向かいそう言って
また歩き出す銀時
土『誰もてめェの邪魔なんかしねーよ。せいぜい溝に気をつけるこったなバカが』
ったく…
酔っ払いなんかに付き合ってらんねー
と銀時の横を足早に通りすぎる
がグイッと後に引き寄せられ
危うく倒れそうになった
土『なにすんだてめェ!!!』
と少々苛つきながら振り返ると
俺の制服を掴み
下を向く銀時がいた
土『なにす…『き…ちわ…』
俺の言葉を遮り
何か小さく呟く銀時
土『あ?』
銀『き、気持ち悪い…』
その言葉を耳にした瞬間
血の気が引いた…
銀『…う…吐き…そ……』
ちょ、てめッ
と口にしようとしたが
銀『も…無理……う゛……』
案の定…
制服にべっとりと………
あーァ…
今日は厄日だ…
うん
そうに違いねェ………
前にも言ったが
俺は暗いところが嫌いだ
だが
バカはもっと嫌いだ!!!
†
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