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「だりぃ」
「練習しましょうよ先輩…」
「ヤダ」
俺は今、ものすごく眠い。だるい。そんでもって、楽しくない。
「なぁ、鈴木」
「なんですか?というか俺本村なんですけど」
「バンドは今日をもって解散!さいなら!」
それだけ言って、部室を飛び出した。行き先なんてないが、とにかく走った。
突然手首を握られ、身体は後ろへ倒れていく。すぐに背中に衝撃が走った。
見上げると、奴がいた。
「木村!何すんだ!」
「本村です。つかアンタ、俺をわざわざ陸上部から引っこ抜いといて解散って…意味がわからない」
「村上…」
はぁ、と深い溜め息をついて、また語りだす。
「辞めてもらっちゃ困るんですよ」
「なんで?つかね『アンタ』ってアンタ…俺、先輩」
「その口一回縫います?」
「いえ、話の続きを」
今まで気にも留めなかったのだが、こいつ案外喋るし図々しい。ブラックリストに載せておこう。そんなものないけど。
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