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「ねぇ。ゆう君は私が見えなくなっても私を愛してくれる?」
夕暮れの河川敷。
散歩に行こうといった彼女は、太陽のオレンジ色の光をキラキラと跳ね返す川面を見ながら呟いた。
「何言ってんだ?―――当たり前じゃん。僕は君が大好きだ。何があっても君を愛するさ。絶対。」
付き合って7年。
就職も済み、生活も安定し、縛られるものもなく、悩みも無く、ただ続く日常を愛し合ってきた二人。
少し天然の入った彼女。
おどけないところが、高校のときと何一つ変わっていない。それが「悠馬」の愛してきた彼女だ。
「へへっ、嬉しいな。・・・ありがと、ね。ゆう君。」
悠馬の視界ににこにこと笑う彼女が映る。
その表情がまた、可愛らしく悠馬は逆に自分が恥ずかしくなる。
茜色の空からの光が川で反射する。
その鮮やかな光を顔に受ける彼女が、とても朗らかで優しくて。
その横顔を見つめるたびに、ずっと彼女に対する思いが一途な自分が、変に痒くてしかたなかった。
「ま、まぁ、な・・・。べ、別に嘘じゃねぇし。」
・・・恥ずかしい。
ついつい顔が赤くなる。
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