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「何も知らないのに横から口だししないでくれる??」
優奈はとてめ穏やかとは言い難い笑みを浮かべていった。
周りにいた生徒達も何かにとりつかれたように涼を一斉に睨むように見る。
「転校生がしゃしゃってんじゃねぇぞ。何ならこの場で恥かかせてやってもいいんだぜ??」
涼はギロリと睨み付けていった。
四十三人対二人……
普通に考えて人数比に誤りがあるだろう。
涼の味方に入れられている和人は悲惨である。
教室内に重たい空気が流れ、沈黙が続いた。
廊下から聞こえる無邪気な生徒の声がやけに新鮮に感じるほどだ。
特に涼と優奈、この二人は睨み合ったまま石像のように全く動かない。
「あーー……ま、まぁ二人共一回落ち着いて。虹河さんもまだ転校してきたばかりで何も分からないんだから。ね、涼??」
和人が沈黙を破るように二人の間に割ってはいると、必死に涼を宥めた。
こういう時、クラスの人気者は役に立つ。
「……わかったよ」
涼は小さく舌打ちすると溜め息まじりに窓の外に視線を移した。
事がなんとかうまく収拾し、和人が安堵の溜め息をついたのもつかの間、一人の男子生徒の発言が事を大きくしてしまう。
「なんだ相馬、俺はてっきりまた殺すのかと思ったぜ」
「き、北澤!?」
和人は危険を察知して北澤を止めようと間に割って入ったが、軽く手でのけられてしまった。
和人が止めようとするのも無理はない……。
和人は涼の強さを知っているから……。
「黙ってろ」
涼は北澤を射抜くように睨み付けながら席を立った。
そして右手を顔の前に持ってくると、
ーーレジスタ
と囁くように言った。
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇぞこの野郎。本当は弱いくせに殺したっていう肩書にいじめから逃げてるだけなんだろ?おい、皆見とけ!! 俺が今からそれを証明してやるからよ」
北澤がそう言うと回りは北澤コールで一気に盛り上がり始めた。
和人はもうこの状況をただただ見ているしかできなかった。
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